2011/02/24

もう騒がれなくなってしまった鳥インフルエンザのこと

 1997年に鳥インフルエンザH5N1の人への感染が香港で確認されて以来、2010年の秋には患者数が500人、死者が300人を超えてしまいました。
 世界中の死者が十数年で300人のというのは必ずしも多いとはいえないかもしれません。なにしろ、毎年の季節性のインフルエンザで亡くなる人は日本だけで1万人以上といわれていますから。
 しかし、死者300人に対し元の患者数が500人ということは致死率で見ると6割。万が一かかったらかなりヤバイ病気です。
 また、この数字はWHOで確定している数字で、鳥インフルエンザの人への感染例の多くが発展途上の国で発生し、十分な医療が受けられない地域や、さらには政府の影響があまり及ばない地域があることを考えると、患者数・死者数ともにもっとあるというのが妥当だと思います。

 OIE(国際獣疫事務局)は、鳥インフルエンザH5N1のブタへの感染について危機感を持っており、すでに5年以上前に鳥インフルエンザH5N1が発生している地域でのブタのH5N1感染を把握するためのサーベイランス強化と、感染した豚の殺処分を求めているようですが、この通知は今も有効なのでしょうか?
 今、鳥インフルエンザが猛威を振るっている日本で、どの程度ブタの感染状況の把握が出来ているのでしょうか。報道を見る限り検査をやっているのかいないのか、やっているとしてウイルスを検出しているのか、或いはどれくらいの抗体保有ブタがいるのか(以前のデータでは1%というのもありますが)も分かりません。
(ブタはあまり症状が出ないといわれています。)

 巷では死んだ野鳥や糞からもH5N1が検出されており、危機管理の観点から現時点での鳥以外の生物(ヒトを含む)でのウイルスの保有状況ないし抗体の有無を、厚労省や農水省で(この際どこでも良いので)検査して公表してほしいものです。
 よろしこ。

 この状況でウイルスがヒト-ヒト感染能力を獲得していないらしいことを考えると、案外ヒト-ヒト感染のタイプには変異しにくいのかもしれませんが、絶対変異しないという保障はないようです。

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